コルベット(下)

■Tral級コルベット1隻(Project 59 or Project 53)

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満載排水量:476t(Combat Fleet基準)、580t(ジェーン年鑑基準)

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大きさ:62m(全長)×7.10m(全幅)×2.39m(喫水)(ジェーン年鑑は62.1m×7.3 m×2.4m)

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機関:ディーゼル・エンジン2、2軸、2,800bhp?

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最大速度:18kt

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航続距離:2,700海里、18kt基準/4,100海里、14kt基準

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武装1:85mm?戦車砲×1、37mm W-11-M 2連装×2、14.5mm 4連装×4

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武装2:機雷30発搭載可能

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レーダー:航海レーダー1、水上レーダー1

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チャフ発射機(4連装)×2

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乗務員:60名

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原生産国:ソ連

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計8隻導入、現役1隻。現在7隻は退役、退役艦中1隻は博物館

 旧ソ連において1938〜1942年に建造され、掃海艦として運用されていたものを、1955年に北朝鮮が導入したものである。『Conway's All the World's Fighting Ship 1947〜1995』によれば、旧ソ連から北朝鮮に移転されたTralは、計8隻だという。北朝鮮は、Tral級を掃海艦ではない沿岸哨戒艦として運用したが、今も一部機雷戦及び掃海関連装備を付着しているという。

 1980年代初盤既に、全て退役したものと知られていたが、1993年5月、東海で行われた北朝鮮のミサイル試験発射時、出し抜けに鉄の塊であるTral級671艦が登場し、米国と日本の情報当局者を 驚愕させた(80〜90年代初めまで、各種外国資料の北朝鮮海軍項目において、Tral級が完全に削除された状態だった。)。再出現したTral級は、2隻だったが、1995年に博物館用に改造され、現在、1隻のみ現役に残っている。東海のミサイル実験発射時に登場したのを見れば、東海に配置されたことが確認される計算である。

 他の全ての北朝鮮艦艇と同様にTral級の場合も、武装状態に対しては、資料毎に全て偏差がある。

出所 艦砲装着状態
FM 34-71 1982  諸元 100mm×1、37mm×3、12.5mm×4
図面 100mm×1、37mm×3、12.5mm 2連装×2
ジェーン年鑑 94〜95 100mm×1 or 2、37mm×2、14.5mm 4連装×3 or 4
ジェーン年鑑 96〜97 85mm52口径戦車砲塔×1、37mm単装×2?、14.5mm 4連装×2
北朝鮮ハンドブック 1997 諸元 85mm×1、37mm 2連装×2、14.5mm 4連装×4
図面 100mm×1、37mm×3、?mm×4?
Combat Fleets 98〜99 85mm戦車砲塔×1、37mm 2連装×2、14.5mm 4連装×4
Combat Fleets 2K〜01 85mm戦車砲塔×1、37mm 2連装×2、14.5mm 4連装×4
筆者結論−70〜80年代 100mm B-34×1、37mm単装K70×3基、12.5mm?
筆者結論−93年以降 85mm戦車砲塔×1、37mm 2連装W-11-M×2基、14.5mm 4連装×4

  1993年に再出現する以前、再び言えば、70〜80年代初めの北朝鮮海軍のTral級の武装は、100mm級艦砲×1門、37mm級対空砲×3門だったようである。FM 34-71に載せられたTral級の図面を見れば、艦首に100mm級艦砲砲塔が描かれているが、外形から見れば、疑う余地なく100mm56口径長B-34砲塔を描いたものである。煙突の後ろ側から艦尾までに砲塔3個が見えるが、外形から見れば、やはり疑う余地なく37mm63口径長単装型式K70砲塔であることが分かる。同じ37mm63口径長対空砲でも、単装(砲身が1個)であるK70と2連装(砲身が2個)であるW-11-M(V47-M)の外形は全く異なるので、図面の37mm砲塔はK70である。米海兵隊北朝鮮ハンドブック1997年版に載せられた図面も、20余年前の図面であるFM34-71と同じ模様である(20余年前の図面をそのまま使用したのは、米海兵隊情報局の 怠惰故に他ならない。)。


Tral級コルベット

 『Jane's Fighting Ship 94〜95』を見れば、沙里院級とTral級を同時に説明しており、少し複雑だが、諸元と本文説明を総合してみれば、「元来沙里院級は、100mm戦車砲×2門を艦首と艦尾に各々搭載したが、最も最近に写真に撮られた671艦では、後方の100mm戦車砲塔を除去し、代わりに37mm砲塔×2基を搭載したのだろう」ということである。最も最近というのは、1993年5月にTral級671艦が日本の海上自衛隊により撮影されたことを意味する。

Tral級艦番671号

 上の写真を1度見てみよう。艦首の戦車砲塔のシルエットが明らかでないが、100mm T-54/55系列特有の半球型砲塔というよりは、85mm T-34系列砲塔であるのを難なく識別することができる。従って、ジェーン年鑑94〜95年版において語った100mm砲塔は、85mm T-34砲塔を誤って識別したことが明らかである。艦尾にある2個の砲塔は、写真上から37mm砲塔であるのを難なく識別することができる。しかし、これもジェーン年鑑94〜95年版において主張する37mm単装K70砲塔ではなく、37mm 2連装W-11-M(V47-M)砲塔であることが明らかである。写真上から14.5mm砲塔は識別するのが簡単ではないが、煙突の直ぐ下の上部構造物四隅に14.5mm 4連装砲塔4個が設置されたようである。

 ジェーン年鑑94〜95で過去に沙里院級が100mm戦車砲2門を搭載したと説明したのは、沙里院級の57mm砲塔×2基を錯覚した誤りと考えられる。また、100mm戦車砲塔だとしたのは、過去Tral級の100mm B-34艦砲乃至現在のTral級の85mm戦車砲塔を錯覚した誤りと考えられる。ともかく、ジェーン年鑑94〜95年版の沙里院/Tral級項目は、最悪の杜撰さと批判されるに値するくらい誤りと錯覚に満ちている。

 『Jane's Fighting Ship 96〜97』は、Tral級に85mm戦車砲塔×1基、37mm単装×2基が搭載されており、内容を推定している。しかし、既に指摘したように、85mm砲塔は合っているが、写真から判断する場合、37mmの場合、37mm単装ではなく、37mm 2連装砲塔である。


Tral級コルベット

 ソナーとRBU-1200は、沙里院級513艦にだけ装着されていることから、Tral級には、装着されていないようである。対潜爆雷(DC)投下機も、装着されていないものと見られる。

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最終更新日:2003/05/25

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